医療費自己負担削減作戦①療育手帳の更新は年をとってからはできない、そうです

目次

愛の手帳1度、2度なら医療費助成あり

 姉のサポートをしていると医療関係の方から「まる福」又は「まる障」ではないのですかとよく聞かれます。重度者向けの制度で対象になれば、医療費は無料です。姉は中度で、この制度の対象外ですが、医療費の負担がきつくなってきたので更新したらよいかもしれないと思い調べたら、18歳以降の更新は基本的にはなし、ということで驚きました。う〜む。

 医療費の公的な助成は、国の制度ではなくて、各都道府県、市町村が独自の制度で行ってくれています。微妙に要件が異なるようですが、障害者の場合は、重度者のみに限定しているのが一般的です。東京都の心身障がい者医療費助成制度(まる障)の場合は、

  • 身体障害者1級又は2級(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む。)
  • 愛の手帳1度・2度
  • 精神障害者保健福祉手帳1級

 身体障害者や精神障害者の手帳と違って、知的障害者の「療育手帳」は法定化されておらずに、国の基準もなくて、都道府県ごとに呼び方もばらばらで、東京都では「愛の手帳」と呼んでいて、1度(最重度)から4度(軽度)までの4段階。普段はほとんど目にすることがなく、今回の件で改めて調べたら姉は3度の中度でした。最後の更新が、17歳の高校生のときで、ヨレヨレになった厚紙にとてつもなく若い時の白黒写真が貼ってあります。

知的障害は「18歳までに現れた障害」なので、成人の更新はなし

そんな昔と今とでは状況が違うので、更新できるのではないかと気楽に審査を行っている東京都心身障害者福祉センターに問い合わせたところ、「すみませんが、年をとってレベルが落ちたという理由では更新はできません」と予想外の答えがかえってきました。身体障害だったら再判定してもらえるのに、なぜ知的障害者がだめかというと、「18歳までに現れた障害に限って知的障害と定義しているからで、加齢でレベルが下がったのは知的障害とは認められない」と説明を受けました。東京都の場合は、ダウン症など障害の原因となった病気の進行によると認められる場合は、再判定しているそうですが、18歳以上の再判定は一切受け付けないという姿勢の自治体もあるということでした。
 つまり、原因疾患がない場合は、18歳までに受けた判定が間違っていたので訂正しますという場合のみ修正可能ということにです。予約の受け付けはしてくれるそうですが、「多分、難しいと思います」。

 知的障害福祉法にも知的障害の定義がなく、しばしば統一の基準づくりが必要ということが議論になっています。
現在は、一般的に、厚生労働省が1990年に行った「精神薄弱児(者)福祉対策基礎調査」での定義、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」が使われているようです。その昔は精神障害との違いが判然としないために定義できず、教育上の必要性から1953年に文部省がほかの児童との判別基準をつくったのが行政が初めて示した定義だそうです。「療育」という名前からしても、発達をみるという教育の視点からなのでしょう。
 
 生活の支援をどれだけ受けられるかは、現在は障害者総合支援法の障害支援区分で決まり、愛の手帳の度数とはリンクしていないので、普段はほとんど意識することはありませんでしたが、50年も前の化石化した判定がゾンビのようにずっと生き続ける制度なのですね。これを医療助成の基準にしていることで、身体障害者や精神障害者は現在の状態で医療費助成を受けられるのに対して、知的障害者はそうでなく18歳の時の状態できまってしまう。おかしな話だと思いませんか?

知的障害の法律上の定義はない。精神保健福祉手帳はもらえるの?

 各法の障害者の定義をまとめてみました。

(各法における障害の定義)
身体障害者福祉法
この法律において、「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であつて、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう。
知的障害者福祉法
(定義なし)
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害その他の精神疾患を有する者をいう。

  大人になってから事故で高次脳機能障害を持ち、日常生活の能力が障害された方は、障害者のカテゴリーにあてはまらずにいたのですが、現在は精神保健福祉手帳を取得することになっています。精神保健福祉手帳1級となる精神疾患の中には、「器質性精神障害によるものにあっ ては、記憶障害、遂行機能障害、注 意障害、社会的行動障害のいずれか があり、そのうちひとつ以上が高度」という項目があります。統合失調症のような原因となる精神病がなくても対象にするという意味です。そもそも脳の機能に器質的な問題がある姉のような人の場合は、これに該当するのではないかとも思えます。
 このあたりの件につきまして、情報をお持ちの方がいましたら教えて下さい。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

9060.jp管理人。母99歳、姉63歳で9060問題に明るく直面中。介護保険制度に日本一詳しかった元記者。中低山一人ハイキングにドハマリ中。https://kawanas.net

コメント

コメントする

目次